米国の国防長官(Secretary of Defense)は、米国政府における国防政策の最高責任者であり、国防総省(Department of Defense, DoD)の長を務める重要な役職です。国防長官は大統領の直属であり、軍事戦略や防衛政策の策定と実行において指導的役割を果たします。
国防長官の役割
国防政策の指揮
国防長官は、米国の国防戦略を策定し、国の安全保障を確保するための政策を実行します。軍の統制と指揮
国防長官は、陸軍・海軍・空軍・宇宙軍・海兵隊・沿岸警備隊を含む米軍の運営を統括します。ただし、作戦指揮権は統合参謀本部議長や各軍の司令官が持ち、国防長官は文民統制(シビリアン・コントロール)を行います。大統領および国家安全保障会議(NSC)への助言
国防長官は、国家安全保障に関する事項について大統領や国家安全保障会議(NSC)に助言を行い、戦略決定に関与します。国防予算の管理
国防予算の編成を担当し、議会(特に上下両院の軍事委員会や歳出委員会)と協議しながら予算の承認を求めます。
国防長官の任命と資格
国防長官は大統領によって指名され、上院の承認を得て就任します。通常は軍歴を持たない民間人が任命されますが、特例として退役軍人が任命されることもあります。この場合、特定の法律(National Security Act of 1947)に基づき、退役後一定期間(原則7年)経過していなければならないという規定があります。ただし、特例として議会の承認を得ることで短縮される場合もあります。
歴代国防長官と現在の国防長官
1947年に国防総省が設立されて以来、多くの国防長官が任命されてきました。2021年1月に就任したロイド・オースティン(Lloyd Austin)は、米国史上初のアフリカ系アメリカ人の国防長官として知られています。
国防総省(DoD)との関係
国防総省は、ペンタゴン(Pentagon)に本部を置き、世界最大の国防機関として米軍の運営・管理を行っています。国防長官はそのトップとして、政策決定や軍事戦略の策定を主導します。
まとめ
米国の国防長官は、大統領の下で国防政策を統括する重要な役職であり、国の安全保障において大きな役割を果たします。軍の統制を行う一方で、文民統制の原則を維持しながら、国家安全保障の方針決定に深く関与しています。
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